正しい小鳥の愛し方【愛を知る小鳥 特別番外編】
自分の想いを自覚してからの俺は変わった。
自分でも驚くほどに。

こんなに自分が誰かのために何かをしたいと思うような人間だったなんて知らなかった。
まるでこれまでまともに恋愛すらしてこなかった反動がきたように、彼女にのめり込んでいった。

俺とは対照的に彼女は戸惑っていた。
ストレートに示される俺の気持ちをどう処理していいのかわからないようだった。
彼女を苦しめるつもりはなかった。
むしろ苦しみから解放してやりたかった。


俺は彼女の真意を見極めようと必死だった。
その中でわかったことがある。
彼女は戸惑ってはいるが、決して本気で拒絶をしているわけではないということを。

彼女を苦しめる原因に思い当たることはある。
それはあくまでも自分の推測に過ぎない。
だが、もしそれが事実だとするならばこれまでの疑念が全て当てはまる。
そして彼女が俺の想いに困惑するのも当然のことだろう。

過去の呪縛から彼女を解き放ってやりたい。
そして俺の存在が彼女にとっての希望になれたら。
その想いは増すばかりだった。


気がつけば泣いて震える彼女の唇に自分の唇が触れていた。
子どもの戯れのようなそれに、全身に電気が走るような衝撃を受けた。

心が震えた。

本当に愛する人と触れ合うことはこんなにも胸が締め付けられるものなのだと、
俺はその時初めて知った。


驚きながらも彼女はそれを受け入れてくれた。
やがて安心したように自分の腕の中で眠るその姿を見て、
何があっても彼女を守ると強く決心していた。


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