正しい小鳥の愛し方【愛を知る小鳥 特別番外編】
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「あ~っ!諒のバカっ!それ私のだったのにぃっ!!」
「トロトロしてる方がいけないんだよ。早い者勝ちっ!」
「もういつもいつも~!おかあさぁ~んっ!!」
半べそかきながらなおの元へ女の子が全力でかけてくる。
「なぁに?また諒君とじゃれてるの?」
「じゃれてなんかいないよっ!諒がまた私にいじわるしたんだよっ!」
「いじわるなんかしてないよ。茉奈がいつまで経っても食べないから僕が食べてあげたんだよ」
後ろからついてきた諒がすました顔で言う。茉奈は振り向くとキッと睨み付けた。
「もうっ!いつもいつもいじわるばっかり!1コ年下のくせに生意気よっ!」
「1コ上だからって何がそんなに偉いの?」
「ムキ~~っ!!ほんとにナマイキっ!」
プンプン怒る茉奈に対して諒は至ってクールなまま。
普段からよく見られる光景になおは苦笑いした。
「こら。女の子には優しくって言ってるだろ?」
声と同時に諒の頭を大きな手が包み込む。振り向いた諒の顔が一瞬で綻んだ。
「お父さんっ!!お仕事は?もう大丈夫なの?」
「あぁ。ただいま。それよりも諒、お前また茉奈ちゃんをいじめてるのか?」
「違うよ、僕いじめてなんかいないよ!」
「おじちゃん、諒はいつもいじめるんだよ!」
小さな姿が大きな姿にしがみついてそれぞれの主張を繰り返す。