君の一番になりたくて
「あの、ありがとうございました。」
「いえいえ、どういたしまして。」
申し訳なさそうに俺を見る彼女。
色素の薄い、ふわっとしたくせっ毛のセミロング。
真ん丸した目と白い肌。
控えめな長さのスカート。
いわゆる、清純派、ね。
「あ、・・・名前なんてゆーの?」
「北野玲です。」
「俺、榊晴人。ハルでいーよ。」
「じゃあ、ハル先輩・・・。」
「ん。」
シン、と静けさが流れる。
だけど、その沈黙がキツイわけじゃなくて、
なんか、少し居心地が良かったりして。
「北野ってさ、」
「はい。」
「なんで保健室通いしてるの?」
「っ、」
急に北野の顔から笑顔が消える。
マズイこと言った、と今更後悔する俺。
ガラッ
「あら、晴人くんに北野さん。起きてたの?」
「あ、先生。おかえり。」
「・・・おかえりなさい、です。」
いや、そこに「です」はおかしくないか。
まぁ、とにもかくにも、
先生、ナイスタイミング。
「北野さん、晴人くんが変なことしてない?」
「ちょ、先生。俺の扱い!」
「何よ、心配じゃないの。」
「酷いっす。」
うっ、と泣きマネをする俺を、
はいはい、とあしらう先生。
「あら?そこにあった花瓶知らない?」
「あ、あの、私、」
「あーっ、それね、俺割っちゃって。
ごめんね、先生。片付けといたから。」
「えー?まぁ、安いからいいけど気をつけてよねー。」
「はーい、以後気をつけまーす。」
ったく、と机に座って作業を始める先生。
不意に北野に視線が動く。
どうしよう、と明らかに困惑している彼女。
ツン、と肩をつつくと、驚いたような表情で俺をみる。
”ないしょ、な。”
人差し指を立てながら、そう口パクすると、
困ったように、でもどこか嬉しそうに、笑った。
「っ・・・・、先生。
俺、これから授業でてきます。」
「え?あぁ、はいはい。」
「ハル先輩、」
「ん?」
「また、来てください。」
「・・・おう。」
ポン、と彼女の頭に手を置いて、保健室を出た。
脳裏にあの笑顔が浮かぶ。
長い廊下を歩き、教室に向かう。
休み時間だったらしく、廊下に人影がある。
その中から、俺を見つけたらしい人影がかけてくる。
「・・・うわ。最悪。」
「ちょ、酷い!」
ダテメをかけた茶髪野郎、
俺の唯一の友達、雪澤祐汰。
なんでこんな奴がって思うけど、
一応生徒会長で、弓道部部長。
あ、俺は帰宅部ね。
「あれ、ハル、なんかあった?」
「は?」
「なんか楽しそうな顔してる。」
「なんもねぇよ。」
「なになに?あのハルくんが恋ですか?
お相手は?もー、隅におけないわねぇ。」
「ユキ、うるさい。」
「ごめんって。で?」
「・・・そんなんじゃねーよ。」
「へぇ・・・」
「ニヤニヤすんな、殴るぞ。」
「スミマセンデシタ。」
恋とか、そんなんじゃねーし。
ただ、・・・。ただ?
「・・・ユキのばーか。」
「ちょ?!」
なんでもないっつの。
「いえいえ、どういたしまして。」
申し訳なさそうに俺を見る彼女。
色素の薄い、ふわっとしたくせっ毛のセミロング。
真ん丸した目と白い肌。
控えめな長さのスカート。
いわゆる、清純派、ね。
「あ、・・・名前なんてゆーの?」
「北野玲です。」
「俺、榊晴人。ハルでいーよ。」
「じゃあ、ハル先輩・・・。」
「ん。」
シン、と静けさが流れる。
だけど、その沈黙がキツイわけじゃなくて、
なんか、少し居心地が良かったりして。
「北野ってさ、」
「はい。」
「なんで保健室通いしてるの?」
「っ、」
急に北野の顔から笑顔が消える。
マズイこと言った、と今更後悔する俺。
ガラッ
「あら、晴人くんに北野さん。起きてたの?」
「あ、先生。おかえり。」
「・・・おかえりなさい、です。」
いや、そこに「です」はおかしくないか。
まぁ、とにもかくにも、
先生、ナイスタイミング。
「北野さん、晴人くんが変なことしてない?」
「ちょ、先生。俺の扱い!」
「何よ、心配じゃないの。」
「酷いっす。」
うっ、と泣きマネをする俺を、
はいはい、とあしらう先生。
「あら?そこにあった花瓶知らない?」
「あ、あの、私、」
「あーっ、それね、俺割っちゃって。
ごめんね、先生。片付けといたから。」
「えー?まぁ、安いからいいけど気をつけてよねー。」
「はーい、以後気をつけまーす。」
ったく、と机に座って作業を始める先生。
不意に北野に視線が動く。
どうしよう、と明らかに困惑している彼女。
ツン、と肩をつつくと、驚いたような表情で俺をみる。
”ないしょ、な。”
人差し指を立てながら、そう口パクすると、
困ったように、でもどこか嬉しそうに、笑った。
「っ・・・・、先生。
俺、これから授業でてきます。」
「え?あぁ、はいはい。」
「ハル先輩、」
「ん?」
「また、来てください。」
「・・・おう。」
ポン、と彼女の頭に手を置いて、保健室を出た。
脳裏にあの笑顔が浮かぶ。
長い廊下を歩き、教室に向かう。
休み時間だったらしく、廊下に人影がある。
その中から、俺を見つけたらしい人影がかけてくる。
「・・・うわ。最悪。」
「ちょ、酷い!」
ダテメをかけた茶髪野郎、
俺の唯一の友達、雪澤祐汰。
なんでこんな奴がって思うけど、
一応生徒会長で、弓道部部長。
あ、俺は帰宅部ね。
「あれ、ハル、なんかあった?」
「は?」
「なんか楽しそうな顔してる。」
「なんもねぇよ。」
「なになに?あのハルくんが恋ですか?
お相手は?もー、隅におけないわねぇ。」
「ユキ、うるさい。」
「ごめんって。で?」
「・・・そんなんじゃねーよ。」
「へぇ・・・」
「ニヤニヤすんな、殴るぞ。」
「スミマセンデシタ。」
恋とか、そんなんじゃねーし。
ただ、・・・。ただ?
「・・・ユキのばーか。」
「ちょ?!」
なんでもないっつの。