君の一番になりたくて
「・・・、何やってんだ、俺。」
その日の放課後。
立っているのは保健室のドアの前。
手に持っているのは二人分のカフェオレのパック。
いやいやいや、マジなにしてんの俺。
一人分のカフェオレ買って帰る予定が。
ガラッ
「あ、」
「あら、何突っ立ってるの晴人くん。」
「いや、・・・北野は?」
「え?あぁ、さっき帰ったわよ?」
「あ、そう。」
急に肩の力が抜けた錯覚に落ちる。
え、緊張してたの、俺。
「何、そのカフェオレ。
もしかして北野さんに?
なになに、惚れちゃった?」
「・・・先生にです。」
「あら、つまんないわね。
じゃあお言葉に甘えていただきまーす。」
保健室に鍵をかけて、
俺の手からカフェオレを一つとって去る先生。
「あ、そうだ。」
「どうしたんすか?」
「先生がこんなこと言うのって、
多分間違いなんだろうけどさ。
保健室に北野さんに会いに来てあげて。」
「え?」
「晴人くんしか知らないの、
保健室通いだってこと。
友達とまではあれだけどさ、
話し相手になってあげて。
じゃ、頼んだわよー。」
ひらひらと手を振りながら
職員室へ続く廊下に消えていく先生。
保健室通い、俺しか知らないってことは、
・・・友達いないのか。
そりゃこの時期に保健室通いだもんな。
保健室通いになった理由は
聞いても答えてくれなかったけど。
・・・・帰ろ。