ビターチョコレイトとクランキーチョコ
始まりの音
一目惚れって、なんなんだろ。

それってただ単に見た目に惚れただけじゃね?いや、でも一目惚れしたことないからなぁ…。

「…の……しの…よしの…おい!!吉野咲良」

「へ、へぃ!!」

私は突然名前を呼ばれて机をガタガタと鳴らしながら体を起こした。

「何をボーっとしてるんだよ!ただでさえ馬鹿なんだからもう馬鹿になんじゃねぇよ。」

「すみません…です。」

ポカッと丸めた教科書で頭を叩かれるとクラスにどわっと笑いが起きた。

「大丈夫?さくちゃん。」

「それ、笑いながら言っても説得力ないからね?」

「だって笑うしかなくない?」

…うぅっなんてやつだ。

今、話しかけてきたのは隣の席の 清水歩美。私の大親友で、明るくて気が利く清楚な子。わりとモテる。

さっきの鬼教師は 神谷京介。見た目はかっこいいし若いけど鬼。でも人気高いみたい。

「おい、吉野。お前ボーっとしてたんだからこの問題。屁じゃねぇよなぁ?」

「…セ、先生。」

「なんだ?」

「何ですかこの数字と記号でできた暗号は。」

「おんまえなぁ!この前やったばっかの方程式だろ!!今は復讐でやってんだぞ!どんだけ馬鹿だお前。」

「馬鹿馬鹿やめてくださいよ!もぉ…」

「はぁ…もういい、清水。答えは?」

「はい。それは…」

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