褐色のあなたに水色のキミ
「それは、あのころの山田さんが知ってると思うわ」


「あのころのオレ…。忙しくて、息抜きに愛のないセックスばっかりしてたな」


愛のないセックス…。私が目撃したのはまさにソレやったんか…。


「そのおかげで私、この年までまともな恋愛できへんかったわ。今やから、言えるけど…」


注文したメニューが並んだ。アツアツのポテトフライをつまんだ。


「ほな、しおりちゃんは…オレが嫌いになったわけやなかったんか?」


「嫌いになれたら、楽やった」


「それは…今でも、好き…ってこと?」


私は、山田さんの左手を見つめながら


「今でも、山田さんが好き」


そう応えた。

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