褐色のあなたに水色のキミ
『私も…』


10年前の私は、山田さんの『本命』やったかもしれん。でも、今は違う。口では『好きや』なんて言っているけれど、あくまで『本命』は奥さんであり、私は、息抜きに愛のないセックスをする相手…所謂、セフレ。


『会いたいと思ってた』


頭では、わかっている。でも、好きやから…。結婚願望もないし、他に好きな人もいない三十路女。でも、男性から優しくされたり、愛されたりしたくなる時もある。


そんな私に、山田さんはちょうど良い相手だと思った。


『ホンマに?ほな、金曜日の夜、会わへん?』


『それなら、うちに来て?この前のお礼に晩ご飯をごちそうするわ』


『ええの?』


『今、ひとり暮らしやから…』



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