褐色のあなたに水色のキミ
「しーちゃん、ランチ行こう!」


総務部の田川美鈴が声をかけてきた。ひとつ年下の美鈴は、しっかり者の美人。恋多き女で、つい最近、彼氏と別れた。今は、狩りの途中。


「何を食べようかな?」


「今日は、パスタ行こう!」


会社の向かいのビルの、地下1階。イタリアンレストラン『バレンシアオレンジ』は、本格イタリアンを、リーズナブルなお値段で楽しめる店。ランチタイムには、日替わりランチや、パスタランチが食べられる。


「今日の日替わりランチは、煮こみハンバーグ。パスタランチは、サーモンクリームやって!」


煮こみハンバーグにサーモンクリームパスタ…うーん、悩ましい…。


「私は、迷わずパスタ!しーちゃん、悩んでる?」


美鈴は、私の心を見透かして笑った。


「うん、でも…ハンバーグにする」


2人、別々のランチを注文した。ほんのりオレンジの風味がする水をひと口、口に含んでから、美鈴が言い出した。


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