褐色のあなたに水色のキミ
20時を少し過ぎたころ、山田さんからメールが入った。


『今、会社を出たから』


そのメールを見て、洗面所に向かった。髪を整えて、化粧直しをする。リップで唇をツヤツヤにして、ふんわりと甘い香りのするパフュームを身に纏う。


同じオフィス街にアッシュゴールドはある。もうすぐ、山田さんがやってくると思うと、胸の高鳴りがやまない。


オートロックの呼び出し音が鳴った。
『はいっ!』と、思わず声がうわずる。


『山田です』


ロック解除のボタンを押してから、山田さんが部屋に来るまでの数分が、すごく長く感じた。


『ピンポーン』


部屋のインターホンが鳴り、玄関までかけていく。ドアを開ける前に、胸の高鳴りを落ち着かせるため、トントンと胸を叩いた。


「こんばんは」


山田さんのやわらかい笑顔に、何も言えなくなって、笑顔を返した。


「あー、腹減ったなぁ」


「ご飯、用意してるよ」


「その前に…」


山田さんは後ろ手に鍵を閉め、靴も脱がないまま、私を抱き寄せ、くちづけた。そして、耳元でそっと囁いた。


「シャワーを浴びたい」


「暑いから、サッパリしたい?」


「それもあるけど、しおりちゃんを、抱きしめたい」


私は一旦、山田さんから離れると、風呂場に案内した。






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