褐色のあなたに水色のキミ
行為を終えた彼は、何食わぬ顔をして、ひとり、女子トイレを出ていった。


ティータイムは、あと5分。私も、何食わぬ顔で仕事スイッチをオンにしなければならない。


フラフラと個室から出ると、乱れた衣服を整え、鏡に映る自分を見つめた。


彼はただ、奥さん以外の女性とセックスをしたいだけ。私の気持ちをうまい具合に利用しているだけ。


わかってる。わかってるけれど、私は、それでもいいと思った。結婚願望もないし、私を好きになってくれる人もおらんし…。


髪を整え、リップをつけると、女子トイレを出た。


そこには、春日園の抹茶色のポロシャツを着た、見覚えのある男性の姿があった。


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