褐色のあなたに水色のキミ
そして、今夜も彼は終電に間に合うように、私の元を去った。


好きな人に抱かれ、手料理を『美味しい』と褒めてもらい、帰り間際に『来週も必ず会いに来るから』と優しくキスをされる。


これが健全な男女交際であれば、たとえ週に1回しか会えなかったとしても、幸せな気持ちで満たされるだろう。


幸せなのは、彼に会っている時間だけ。彼が帰ってしまえば、虚しさや後悔、罪悪感の波がいっぺんに押し寄せ、ため息がもれる…。


彼は、家庭を壊す気はないだろうし、私も、家庭を壊すつもりはない。


この関係は、いつまで続くのだろうか?自らの手で終わらせなければ、いつまでも続くのだろうか?


でも、彼から離れるなんて…今の私には到底無理なことだった。


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