褐色のあなたに水色のキミ
はぁ…と、深いため息をつき、しゃがみこんでいた玄関から、部屋に戻る。カーテンの隙間からそっと外を眺めると、月が綺麗に闇夜を照らしていた。


月の光に導かれるように、私は、外に出た。こんなに夜遅く、ひとりで出歩くのは、初めてだった。


マンションからオフィス街に向かって歩いて行くと、ニッキュー(宅配便)の営業所があり、その近くに朝まで営業しているカフェがある。


そのカフェは、職場の飲み会のあとに利用したことはあるけれど、ひとりで入るのは初めてだった。


終電は過ぎている。でも、金曜日の夜だからか、店内は賑わっていた。幸せそうなカップルもいれば、スーツ姿のサラリーマンもいる。他の人から見れば、私の姿は、どんな風に見えるのだろうか?


「ただいま満席で、カウンター席なら、ご案内できますが…」


「カウンターでいいです」


そう応えると、カウンターの隅に案内された。隣には、ひとつのパフェを仲良く食べている、学生風のカップルが座っていた。


窓ガラスに映るカップルの姿をチラリと見てから、メニュー表に目をやった。水をもってきた店員にカプチーノを注文してから、その水をひと口飲んだ。


何をやってるんやろ?私…。










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