褐色のあなたに水色のキミ
「うーん…。おっきな声では言えない」


「え?どういうこと⁉︎」


不思議顔の私に、美鈴は声を出さずにゆっくりと唇を動かした。その唇は、しゃない…と紡いでいた。


「え⁉︎誰?いつの間に…」


恋愛ハンターの次なる獲物は、社内の人間だった。


「内緒やで」


「でも、社内って…限られてるやん?」


「大阪の人やないで!何回か顔合わせてたら…気になる存在になって…ふふっ」


美鈴は顔を赤らめながら、笑っていた。


「でも、もし…バレたら?」


「別にやましいことはないから。バレたらバレたで、しゃーないし」


「会社に、居づらくない?」


「違う支店やし、別に。不倫とかちゃうしなぁ!」


「…うん…。そうやね…」


美人の美鈴が、社内恋愛に夢中の間に、地味で目立たない私が不倫に溺れているやなんて…。誰も気づいていないし、それこそ考えられないことであった。



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