褐色のあなたに水色のキミ
「あっ………あ、あ、あ………」


「声、出したらあかんよ…」


15時、オフィスビルの3階、トイレの個室…。後ろから耳元で囁かれる、言葉。


「ああ、気持ち良くてたまらん…。しおりちゃん、トロトロやで?」


「…ん…あ…」


目を閉じ、彼に身を委ねる。イケナイと思いながら、会って、強く抱きしめられると、すべてを許してしまう。


そして今日も、自分勝手な彼の行為を許して、金曜日には手料理を用意する。


心の隙間を埋めるどころか、隙間はどんどん広がってゆく…。


彼が去った女子トイレの鏡に、自分の姿を映した。虚しさがこみあげ、ため息が漏れる。


ティーソーダを買いに行こう。


ポケットの中の小銭入れを握りしめ、女子トイレを出た。誰もいない。人の気配もしない。階段で1階まで降りた。


誰にも会わないうちに、ティーソーダを買ってオフィスに戻ろう…。春日園の自販機にお金を入れて、ティーソーダのボタンを押した。



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