褐色のあなたに水色のキミ
最近の冷凍技術は素晴らしい。下手な店に行くより、安くて美味しく食べられるんやから…。


「ごちそうさまでした」


ポツリと呟くと、テレビを消した。カーディガンを羽織ると、部屋を出た。夜風にあたりたいと思った。


思っていたよりも、肌寒く感じた。少し足早に、カフェを目指した。カプチーノを飲めば、心も身体も温まる…そう思った。


私がカフェの入口に歩を進めた時、駅方面から来た客とタイミングが一緒になった。


入口の前で、立ち止まる。視線がぶつかる。


「あっ、こんばんは」


またしても、春日園の彼とカフェで遭遇した。


「こんばんは」


緊張で顔が強張る。無愛想な挨拶しかできない。それでも彼は、爽やかな笑顔を私に向けた。


「良かったら、一緒に…」


彼は、遠慮がちに控えめなトーンで言った。私が頷くと、カフェの扉を開けた。



< 46 / 84 >

この作品をシェア

pagetop