褐色のあなたに水色のキミ
福岡誠人
賑やかな話し声の中、私と春日園の彼は、カウンター席に並んで座った。


「何を、注文しますか?」


彼は、メニュー表を広げることもなく私に聞いた。


「カプチーノ」


私が呟くと店員さんを呼び止めて、カプチーノとアールグレイを注文した。


「紅茶、好きなんですか?」


「職業病ってヤツです。カフェに来たらコーヒーよりも紅茶を注文してしまうんです」


照れ笑いを浮かべると、水をひと口飲んだ。なんだか気まずくて、飲むわけでもない水を手に取った。何を、話したらいいんやろ?


「よく、来るんですか?」


彼も、言葉を選びながらゆっくりと話した。


「この近くに住んでいるので…」


「えっ⁉︎どのあたり…」


「…靫公園って、わかります?その近くなんですけど…」


「うちも近いですよ!」


目が合うと恥ずかしくなり、どちらかともなく視線を外した。


「職場まで近くていいですね」


「職場から実家は、1時間以上かかるから、近くでひとり暮らしをしてます」


そう言ってから、ハッとした。ひとり暮らしをアピールしたと思われへんよね?

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