褐色のあなたに水色のキミ
マンションに帰るとすぐにシャワーを浴びた。


「福岡さん…かぁ…」


私のそんな呟きは、シャワーの音にかき消された。


「ふふっ」


どさくさに紛れて、思い出し笑いをした。偶然、とはいえ、私が虚しい気分の時に、彼が忘れさせてくれた。


必然、だったらいいなと思いながら、今の私は、一誠さんとの関係から抜け出せないことを、知っていた。


バスタオルで髪を拭きながら、ふと、さっきもらった名刺に目がいった。名刺を見ながら、スマホにメアド登録をする。


おそらく、会社のパソコンのメアドやろう…そう思いながら、件名に『おはようございます』と入れた。


『突然のメール、失礼します。先日は、ありがとうございました』


短い文章のあとに


『株式会社スパーキードリーム
営業部 朝倉しおり』


これで万が一、他の人にメールを見られたとしても、怪しまれることはないだろう…。


福岡さん、いつメールに気付くかな?メールを送った後になって、ドキドキしてきた。

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