褐色のあなたに水色のキミ
「…って、しーちゃんが落とすわけないか?彼から、アプローチあったん?」


「彼…?」


「春日園のイケメン」


春日園のイケメン⁉︎あ、福岡さんのことか⁉︎良かった…。一誠さんとの逢瀬を見られたんやなかった。


「えっ…べ、別に…。よくティーソーダを買うから、顔見知りになっただけ…」


「顔見知りってだけで、一緒にカフェに行くん?」


『見ちゃった』って、それ⁉︎


「あれは、ホンマに偶然!お互いひとりで…カフェで遭遇して…」


「ふぅーん…」


美鈴は、余裕タップリの笑みで私の顔を覗きこんだ。


「ほらっ!そろそろオフィスに!」


私は、伝票を手にレジへと向かった。とりあえず、美鈴の分も支払って、慌てて店を出た。


「あっ!しーちゃん!」


周りが見えていなかった私は、美鈴の呼びかけにも応じずに店を出ようとして、入ってきた人にぶつかった。


< 55 / 84 >

この作品をシェア

pagetop