褐色のあなたに水色のキミ
『好き』は、いらない
「す、すみませんっ!」


「あっ………」


噂をすれば影…。頭上から、聞き覚えのある声が降ってきた。思わず、視線を向けると、目が合った。


「し!失礼します!」


美鈴が呼ぶ声を振り払うようにして、頭を下げると、オフィス街をダッシュした。


顔が…りんごよりも紅く、紅く染まっているのが、わかった。外は、秋風が吹いているのに、熱くて…。


息を切らせてオフィスビルに戻り、自分のデスクに座った。置きっ放しのスマホに、何気無く、手を伸ばした。


メールを一件、受信していた。


『福岡です。メール、ありがとうございました』


ランチに出かけた直後に、福岡さんのスマホから、メールが届いていた。


カツ丼、食べへんかったら良かった。


…へへっ。


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