褐色のあなたに水色のキミ
コンビニを過ぎ、市立科学館の建物が見えてきた。


「朝倉さんは、プラネタリウム、観に行ったことある?」


「ないけど、科学館自体は毎日見てる」


「オフィスから見えるもんな」


大したことやないけれど、なぜか不思議と笑顔になる。それは、福岡さんと一緒にいてるから?それとも、一誠さん以外の男性と、2人っきりやから?


「もし、良かったら…」


目が合った。恥ずかしくて、すぐに目をそらした。


「あ………」


その後、しばらく無言で歩いた。福岡さんが何か言いかけたのに、私が目をそらしたりしたから…。


「家は…?」


オフィス街を抜けたころ、福岡さんが再び口を開いた。


「あ…この通りを真っ直ぐ…10分くらい…かな?」


「わかった」


…なぜか、また会話が途切れた。私から何か話せばいいんやろうけれど、適当な言葉が浮かばない。


「いただきます…」


買ってもらったお茶を、いまさら口にした。もう、冷めているはずだけれど、ほんわかと温かい。


「美味しい…」


「良かった…」


お茶と、福岡さんの笑顔が、週末で疲れた心身を癒してくれる。次に会えるのは、月曜日…なのかな?



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