褐色のあなたに水色のキミ
11時の少し前、私は部屋を出た。マンションに背を向けて立っている、福岡さんの広い背中が見えた。


「お待たせ」


振り返った彼は、爽やかな笑顔を見せた。


「今、来たとこ」


そう呟くと、市立科学館のほうへ足を向けた。


「プラネタリウムなんて、久しぶり」


なんとなく照れくさくて、呟いた。隣に並ぶ彼は、私より20cmくらい背が高かった。真っ直ぐ前を見る彼を、こっそり観察することができた。


なんとなく、会話もないまま、市立科学館についた。まずは、開始時間を確認する。


「次は、12時からや…。ちゃんと時間調べて来れば良かったな…」


「ほな、この近くで早めにランチでもする?すぐ近くに美味しい店、あるよ」


「さすが、よく知ってんな」


「10年近く働いてるからね!」


「10年?」


そう聞き返されて、ハッ…とした。歳がバレるやんっ⁉︎


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