褐色のあなたに水色のキミ
結局、ランチには行かず、科学館の中で時間をつぶし、12時の上映を観た。


久しぶりのプラネタリウム、満天の星はあまりにも綺麗で、居心地が良くて…寝てしまいそうになった…。


「綺麗やったなぁ」


「実際にあんな綺麗な星が観えるとこ、あるんかな?」


「山の上とか、空気が綺麗なとこやったら観えるんちゃうかな?ドライブで…」


2人の会話を遮る、ぐぅぅぅぅ…と言う音…。


「ランチ、行こっか?」


イケメンやのに、カッコつけられない、素直な誠人くんをかわいいと思った。ランチは、行きつけの『バレンシアオレンジ』に行った。


「この店、前を通ったことはあったけど、初めて入った」


「ここ、美味しいよ。私の行きつけ」


私の行きつけやから、誠人くんにも気にいってもらえたら…と思った。どうやら好き嫌いは無いらしく、ふたつのランチをどちらにするか、迷っていた。私も、いつものように迷って…2人で別々のランチを注文した。


「美味しかった!ごちそうさま」


紙ナフキンで口を拭きながら、チラリと誠人くんに視線を送る。彼も私を見ていたのか、目が合った。


「この後、どこ行く?」


プラネタリウムとランチ以外、何も考えてなかった…。


「堂島に美味しいプリンの店があるんやけど…前から行ってみたいと思いながら行ったことがなくて…」


私が提案すると、誠人くんは笑顔を返した。


「そこ、行ってみよっか?」


そう言うと、伝票に手を伸ばして席を立った。私は、広い背中を見つめながら、後に続いた。



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