褐色のあなたに水色のキミ
土曜日の昼間に観覧車…。並んでいるのはカップルばかり…。私たちもカップルやと思われているんかな?そう考えただけで恥ずかしくて、視線が足元に向いた。


初めてのHEPの観覧車、個室で2人っきり…。乗りこんでから、気付いたことがあった。


「あんまり景色、見えへんな…」


そう!HEPの観覧車は、HEP FIVEという商業施設にくっついているから、全体の5分の1くらいは、景色が見えない。


「そうやな…。景色を楽しみたいなら、海遊館の隣の観覧車とかがいいかも?」


以前、一誠さんと乗ったのを思い出して言ってみた。何も考えずに。


「ほな…今度、一緒に…」


目が合った。恥ずかしくて、肝心なところで目をそらした。


「あ…。一緒に行きたいな…と、思ったんやけど…」


誠人くんが、ボソボソと呟いた。観覧車で2人っきりが恥ずかしくて、目をそらしてしまう。とても30歳と25歳のデートとは思えない…。いまどき高校生でも、こんなピュアなデートせんわ!


「ふふふ…」


思わず笑ってしまった。


「へへへっ…」


向かい側で、誠人くんがつられて笑った。





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