褐色のあなたに水色のキミ
「寒いから、外に出なくていいで」
一誠さんは、私に背を向けたまま歩いている。ちゃんと話をしやな。この話には続きがあるんやから。
「一誠さん、待って。話を聞いて…」
帰ろうとする一誠さんと、引き止めようとする私…。マンションの玄関を一緒に出た時、人の気配を感じた。
「しおりちゃん…」
その声に、一誠さんは足を止め、私はビクッとした。
偶然、マンションの前を通りかかった誠人くんに、見られたくないところを見られた。
「しおりちゃん、知り合い?」
一誠さんが、誠人くんをチラッと見てから私に聞いた。私は、何も言えずに俯いた。
「さっきの人、やな?」
私にしか聞こえない、小さな小さな声で確認する。一誠さんは、ポケットをガサゴソすると、俯いたままの私の手に、冷たくて硬い何かを握らせた。指に伝わる感触で、それは愛鍵だとわかった。
「さよなら…」
そう言って去ってゆく一誠さんは、愛する人の待つ家に向かって帰っていった。私の手の中で愛鍵は、ただの合鍵に変わった。
一誠さんは、私に背を向けたまま歩いている。ちゃんと話をしやな。この話には続きがあるんやから。
「一誠さん、待って。話を聞いて…」
帰ろうとする一誠さんと、引き止めようとする私…。マンションの玄関を一緒に出た時、人の気配を感じた。
「しおりちゃん…」
その声に、一誠さんは足を止め、私はビクッとした。
偶然、マンションの前を通りかかった誠人くんに、見られたくないところを見られた。
「しおりちゃん、知り合い?」
一誠さんが、誠人くんをチラッと見てから私に聞いた。私は、何も言えずに俯いた。
「さっきの人、やな?」
私にしか聞こえない、小さな小さな声で確認する。一誠さんは、ポケットをガサゴソすると、俯いたままの私の手に、冷たくて硬い何かを握らせた。指に伝わる感触で、それは愛鍵だとわかった。
「さよなら…」
そう言って去ってゆく一誠さんは、愛する人の待つ家に向かって帰っていった。私の手の中で愛鍵は、ただの合鍵に変わった。