レジスタと魔法譚
立ち食い飯屋の中は喧騒である。
縦長の店の中に縦長の机が置かれ、客たちはそこで蕎麦を啜り、パンをかじっている。
戸口手前の番台に腰を掛ける老爺に、若者は5ロウ(約250円)を手渡した。
「ぶっかけ蕎麦。熱いのくんな」
「あいよ」
老爺はにんまりとうなづくや、奥にいる図体の良い料理人に向けて銅銭をひとつずつ弾いた。
それを全て手に取り、料理人は老爺にむかって手のひらほどの木札を投げる。
ぱしり、と投げられたそれを受け取って、老爺は木札を若者へと渡した。
「ちいと待ってな」
木札には21番と掘られていた。