レジスタと魔法譚



開祖である6人の御子が命を落とすと、その力はそれぞれの村の子供達へと継がれ、ジネンを操作する力はみるみるうちに村に広がっていった。

いかにすれば土をこやせるか。

いかにすれば水の流れを操れるか。

いかにすれば燃え移らぬ火を起こせるか。

いかにすれば雨を降らせるか。

村の民は、ジネンを操作する力を“咒(まじない)”によって発動できるよう工夫を凝らし、現在のような呪文を要する魔法を作り上げたのだった。

そして現在ーーー2142年、都の周囲に作られた魔法士の住まう集落が出来上がったのである。


御子の長男・ドリアードを開祖とした土遁魔術の村。

長女・ウンディーネを開祖とした水遁魔術の村。

次女・サラマンダーを開祖とした焔遁魔術の村。

三女・アウラを開祖とした雷遁魔術の村。

次男・シルフを開祖とした風遁魔術の村。

三男・ウィスプを開祖とした陽光魔術の村。


それぞれ6人の御子の名を受け継いだ村は、太古より滅びることなく、細々と魔法による営みを続けてきた。

受け継がれる限り、滅びることのない力。

村の民たちは、魔法士の血を絶やさぬことを絶対の掟とし、自ら戦や厄介ごとに関与し、魔法を行使することを禁忌とした。

戦に巻き込まれぬよう、いざこざを起こして攻め込まれぬよう……。

そうして、6つの村は平穏を保ってきたが、平穏というものは長続きしない。

こちらが火の粉を振りまかなくとも、相手が勝手に振りかけてくる場合というものがある。

長男の村・ドリアードが、突如やってきた謎の魔法士集団によって壊滅したのだった。












< 7 / 11 >

この作品をシェア

pagetop