レジスタと魔法譚
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“土遁の村、一夜にして焼け落ちる”
町一帯に、そう記された記事が張り出される。
街をゆく人々が、その赤レンガに貼られた記事に目を凝らし、声を上げるのだった。
「こりゃあ、えらいことになったぞ」
そんな声が聞こえた。
土遁の魔法士が住まう村が壊滅したということは、すなわち、土を肥やし管理する力を失ったということになる。
古から続いた豊作が、途絶えることになるかもしれないのだ。
百姓や米商人にとっては、大打撃である。
「いってえ、誰がなに考えてこんなことを……」
鍬を抱えた年寄りの百姓が、そう呟いた。
魔法士の1人や2人を殺す程度ならまだしも、この事件の場合は、全員あの世行きの、壊滅状態である。
ジネンを管理する魔法士が根絶やしにされれば、ジネンを管理する力は今度こそ失われる。
ひとつでも欠ければ、民たちの豊かな生活は保障されなくなるのだ。
魔法士を根絶やしにしたところで、金になるどころか、ゆくゆくは自分の首を締めることになる。
逆に、なにがしたくて村を壊滅させたのかがわからない。
「生き残りの魔法士が1人でもいりゃ、いいんだがなあ」
そう零した飯屋の旦那の隣を、そそくさと早足で過ぎて行く若者がひとり。