雨の日は大声で歌をうたおう
もう会えない、ということ

もう何年も前のことだけど
故郷にいる、友人と知人の中間くらいに位置する女の子が亡くなった。

白血病だった。


骨髄移植のドナーは見つかっていたらしい。
しかし寸前で移植を断ってきたんだそう。
それってあんまりじゃないの?
彼女の気持ち、家族の気持ちを考えたらいたたまれない。
安易な気持ちでドナー登録をするな、と言いたいが
実際なかなか提供者も傷付くだろうし
ここで私が吠えることではない。

彼女とはそんなには親しい間柄ではなかった。
町ですれ違えば挨拶くらいは交わすだろうが
メールアドレスや電話番号を交換したことはなかったし
何度かご飯を一緒に食べたが
地元に帰るたびに会うってことはなかった。

しかし訃報を聞いた時、
もう絶対彼女と会うことはないんだ、と涙が止まらなかった。
いや、もし命が助かったとしても
私たちは会わなかったかもしれない。

でも「会わない」と「会えない」の差は
あまりにも大きすぎるのだ。

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