雨の日は大声で歌をうたおう
Vol.5 理想の家を描くのが好きだった

小学生の頃、自分がどういう家に住むか、
という見取り図を描くのが好きだった。ベッドがここで、ここにはテーブル、
テレビはここ、観葉植物、ゴミ箱にいたるまで。
俯瞰図にして描くのだ。
レゴブロックでも家を作るのが好きだったけど
鉛筆と紙があればできるこの遊びを
はまって熱中した。
私の想像の家は大きな一軒家で
ロフトがあった。
そして無駄にある部屋。

同じ遊びに夢中になっている友達は
部屋の掃除をしたくないからマンションの絵を描いていた。
私の階段がいっぱいある家とは違い
簡素で現実的だった。
今その子がどんな家に住んでいるか知らない。
私は狭い2LDKの賃貸マンションに住んでいる。
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