月に隠れた言葉
意外にも、2コール目で彼は出た。
『……はい。…どうしたの?志乃。』
それでもやっぱり眠そうで、申し訳なくなった。
「と、突然夜中にごめん
…えっと、その……」
そういえば。
私、何を智則に話そうと思ったんだろう?
彼氏彼女でもないのに。
『んー?志乃ー?』
優しいテノールが響く。
あ、そうか、
「あの、なんていうか…と、智則の声が急に聞きたくなったみたいな…」
うわ、自分今、すっごく恥ずかしいこと言ってないか!?
『お、嬉しいね。
志乃の名前見て飛び起きた甲斐があったみたいだ。』
…この男はもう。
恥ずかしげもなくさらりとかましてくるから堪えられない。