月に隠れた言葉
「…まあ、ぼちぼち…かな。」
最近の生活を振り返って、私はゆっくり膝を抱える。
『あ、嘘ついた。』
ズバリ当てられ、不意に喉になにかつまる思いがした。
昔からそうだ。
智則には絶対に嘘がつけない。
「…うん、嘘ついた。
あのね、テストの点数上がらなかったし、部活でも委員会でも怒られてばっかで、最近冴えないなって、思えてきちゃって。」
私は、こんな弱気な私を、智則に叱ってほしかったんだ。
背中を押してもらう。そのために弱味を見せてみた。
こんなに素直に言えたのは、満月のおかげかな。なんて。
そんなことを思っていると、彼は私の背中を押すどころか、優しく後ろから包むように言うのだ。