キミとの温度






「陽菜、リボン曲がってるわよ」

「え、あ、ほんとだ」



如月 陽菜、今日から高校生。

新しい土地、新しい学校、人見知りのわたしにとって、とてつもない試練。


でも、ある人との出会いを信じて胸が高鳴る。



「…新(あらた)」



恥ずかしくて、本人の前で一度も名前を呼んだことはなかった。

心の中で何回呼んだことだろう。

新から貰った鍵はネックレスにして、ブラウスの下に隠した。



「じゃあ、先に行ってるね」



生徒の集合時間は早いため、お母さん、お父さんとは学校で待ち合わせすることになっている。

大丈夫、学校までの道は何回か練習したし。

電車の乗り換えもない。



「ちょっとぎりぎりだったかな…」



ホームには、学生服を着た人は少なかった。

サラリーマンとかが多く感じた。

そして、電車がホームに入ってきて、後ろから押されるようにして電車の中に入った。


く、苦しいっ…

この時間の電車って、こんなに混むんだ…


< 12 / 30 >

この作品をシェア

pagetop