キミとの温度
「陽菜、リボン曲がってるわよ」
「え、あ、ほんとだ」
如月 陽菜、今日から高校生。
新しい土地、新しい学校、人見知りのわたしにとって、とてつもない試練。
でも、ある人との出会いを信じて胸が高鳴る。
「…新(あらた)」
恥ずかしくて、本人の前で一度も名前を呼んだことはなかった。
心の中で何回呼んだことだろう。
新から貰った鍵はネックレスにして、ブラウスの下に隠した。
「じゃあ、先に行ってるね」
生徒の集合時間は早いため、お母さん、お父さんとは学校で待ち合わせすることになっている。
大丈夫、学校までの道は何回か練習したし。
電車の乗り換えもない。
「ちょっとぎりぎりだったかな…」
ホームには、学生服を着た人は少なかった。
サラリーマンとかが多く感じた。
そして、電車がホームに入ってきて、後ろから押されるようにして電車の中に入った。
く、苦しいっ…
この時間の電車って、こんなに混むんだ…