キミとの温度
「あ、あの…?」
近い…近すぎる!
さっきの電車みたいに、わたしのすぐ真上に顔があって。
「す、少し、近く…ありませんか?」
「“少し”?」
よく見たらこの人すごいかっこいい…
テレビで見るような芸能人みたい。
「…さっきは、ありがとうございました!」
ダメだ、これ以上直視したら、どきどきしすぎてまた倒れちゃいそう!
とっさに下を向いたわたしの顔に、手が添えられて、そのまま顔を上にあげられた。
「…っ」
「その顔」
「放してください…」
涙が出そうになるのが分かる。
男の人にこんなに顔近づけられたことないもん。
緊張と恥ずかしさで頭が真っ白。
「新、そろそろ放してあげなよ~
もう泣きそうじゃん」
女の人の声で、“新”と呼ばれた人は、わたしの顔から手を離した。
「…“新”?」
「なに?」
この人が、新…?