キミとの温度
「わーい、また地味子がいるぞ」
「なーんだこれ?
地味子の持ち物はやっぱり地味だな」
小学1年生の帰り道。
公園で遊んでいた男の子達が、わたしに気付いて、持っていたカバンを奪って行った。
「…か、返してっ」
「なに?今何か音がした?」
「何も聞こえないなー」
………いつものこと。
男の子達はそのままジャングルジムに登って行き、頂上からわたしを見下ろして笑っていた。
慣れ、ていうのは怖い。
嫌だとも何とも思わなかった。
どうせ飽きれば返してくれるって分かっていたから。
きっと、今日も。
「あ、テレビの時間だ」
「わ、ほんとだ!
もう帰ろう」
そう言って、ジャングルジムから降りてきた彼らは、わたしのことなんて眼中に無かった。
ジャングルジムのてっぺんに置き去りにされたわたしのカバン。
高いところ、嫌いなのに…