キミとの温度
「あいつ、さっき新と遊ぶ約束してたよね」
「転入生のくせにうざ〜」
………。
体育前の更衣室。
さっきのこともあって、女子の視線が痛い。
「ねー、アユもうざくなくないの?」
「そうだよ!
転入生なんかにポジション奪われたわけじゃん?」
最近、少しずつアユのことを聞くようになった。
アユは全部聞こえなかったような顔をして、やり過ごしている。
…でも、アユが言われるようになったのは、間違いなくわたしが元凶。
わたしが、新くんと拓郎くんと仲良くなったから。
きっと今まで二人と仲良かったのは、アユだったのに。
「…そんなのどうでもいい。
それよりも、陰口しか言えない小さな人間の方が嫌い」
はっきりと、アユの声が聞こえた。
振り返ると、更衣室からアユが出て行くのが見えた。
追いかけなくちゃ…!
気付いたら、身体が動いていた。