キミとの温度
「…げ、先客いるよ」
アユと一緒にドアから屋上を覗くと、確かに誰かがいた。
遠くてよく見えないけど、男子制服を着ているのは分かる。
フェンスに向かって…
「やっぱ違うとこ行こっか」
「そうだね」
ドアから離れようとした時、その人はフェンスから離れ、そのままこっちに歩いてきた。
やばい…!
咄嗟に階段の陰にアユと隠れた。
「そんなんじゃ、バレバレだよ」
「…す…すみませんっ!」
「ま、別に良いけど」
隠れたわたしたちに気付きクスクス笑うその人を見て、わたしはある物に目が奪われてしまった。
「じゃーね」
見覚えのない後ろ姿。
でも、あれは…
見覚えのある鍵穴のキーホルダー。