キミとの温度
「大丈夫。
落ちそうになったら俺が支えてやるから、ゆっくり降りてみなよ」
「…む、り」
「大丈夫だから。
俺を信じて、ね?」
「…う、ん」
男の子の言葉を信じて、ゆっくり一歩ずる動かした。
たった数段。
とても怖かった。
「ほら、降りれただろ?」
降りた後には、眩しい笑顔の男の子が待っていて、なんだか安心して涙が溢れた。
「え?ちょ、泣くなって」
「うっ…」
「そんなに怖かったのか?
もう大丈夫だから」
わたしが泣き止むまで、その子はずっと頭を撫でてくれた。
今でも覚えている、あの優しい手の温もり。