キミとの温度
あれから、毎年夏休みに男の子に会うようになった。
別に約束をしたわけじゃないから、会える日もあれば、会えない日もあった。
「来年からはこっちに来れないと思う」
「…そっか」
小学生最後の夏休み。
二人でベンチでアイスを食べながら話していた。
ストロベリー味なのに、なんだか甘く感じなかった。
「中学さ、受験するんだって、俺」
「受験?中学で?」
「そうそう、なんかエスカレート式の学校で。
今もすごい勉強しててさ、反対されたけど無理言って1週間だけこっちに来たんだ」
「ごめんね、約束しちゃったから…」
「違うよ。
俺が会いたかっただけだから。
来年から会えなくなるだろうし、ちゃんとお別れ言いたかったんだ」
お別れ…
その言葉が、きっと今までで一番悲しかった。
学校では相変わらず友達はいなくて、唯一の友達だったのに。