吸血鬼





何か言わなくてわと
そう、思ったら


「お前名は?」


と、さっきのは何でも無いというような顔で見てきた


言って良いか迷った


けれど、答えなかったらどうなるか自然に分かった


「スミレ
野村菫っていうの」


そう言い決意を固め


「あなたは?
あなたの名前は何?」


「……面白い………」


口角をあげ、始めて見た笑顔はやっぱり美しかった


いつの間にか目の前にいた彼は言ったのだった


「俺はな、吸血鬼なんだ
人はバァンパァイヤって言う…かな?
さっきのは食事をしていた
お前もそのうち食らいに行く」


いたずらっぽく笑って見せた


「…………………………………
……………嫌だ」


やっと出た言葉だった


彼はその言葉を聞き不機嫌になっていくのが良く分かった


「けれど人を死ぬところを見ただろ?
俺たちのことがバレると厄介だ
血を抜かれて死ぬか
俺達と同じ吸血鬼になるかの
2択だ」




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