吸血鬼




名前は、池上翔


家族はいなくて、
施設で暮らしていた


そんなある日だった


「しょうくーん」


クラスメイトの子に呼ばれて
そちらを見た
小学生だった俺は悲しいと言う言葉を知らなかった
でも、


「しょーくんは、
おかーさんのおとーさんもいなくて悲しくないのー?」


そう聞かれた
俺は


「うん!
悲しくないよ」


意味も分からずそう言った


それからは同情の目で見られていた
可哀想な子…


いろんな人にそう言われて生きていた


「しょうくん、」


施設のおばさんが小さい子達と遊んでいる俺に話しかけてきた


「どうかしたの?」


そう聞くと
困った顔をしながら


「どうかしたの?
じゃないわよ
修学旅行のお知らせ、ちゃんと出して〜
自然教室の時も出さなかったわよね
何で出さないの?」


そう問われて
むくれながら
謝った




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