吸血鬼





修学旅行当日


「あ、池上君」


先生に声をかけられて挨拶をした


「おはようございます
何かようですか?」


すると先生は


「ん?
いや、来ないかと思ったから…
ね?」


と、意味有りげな笑みを浮かべて俺を見ていた


班では浮いてはいたが
フツーだった


楽しくも、つまらなくもなく
ただ、決められたルートを歩いていた


「池上〜
こっちこっち」


そう言い向くと冷たいものを感じた


水だ…………


まだ小学生だったけど、
施設に入っていてイジメを受けていた


親がいないなら学校なんて来ないで良いのに、


親がいないなら自然教室や修学旅行来なくて良いのに、


親がいないならって、何かと親の話しをするガキだ


親がいるから偉いわけではない


親がいるから上なわけではない


そう思い、施設で過ごしていた


修学旅行では強気でいられた


修学旅行では…………





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