吸血鬼
皆が帰った後、お父様に呼ばれてお父様のお部屋へと行った
『コンコン』
「お父様、
私です」
そう言うと
ドア越しに
「開けて入ってきてくれ」
そう言われたので
ドアを開けて入った
「お父様。」
何か机に向かって作業をしているお父様に話しかけた
お父様はこちらに向き直り
優しく微笑みながら言った
「スミレ、大きくなったね」
その言葉が何を意味しているのかは分からない、
けど、
「当たり前よ
お父様と最後にあったときはすっごく幼い時だもの」
そう言うと
優しく抱きしめられて
こう言われた
「まだ、28なのに悪いとは思った………
憎んでくれていい
すまない」
そう言われて何のことだか分からない私は固まった
けれど、何故か嫌な予感がした
私はお父様に
「悪い……こと?
お父様は、私といられなかった分、
一緒にいてくれるのでしょう?
ご飯を食べて、遊んで、仕事をして……
お父様?」
不安になり少し腕を緩めて顔を見上げた
泣きそうなその顔は娘でも思う程に美しかった
『美しき王』
『孤独の王』