未定


あれは高校2年の夏だ。
それはもう神の存在感をありありと感じる程、奇跡的にありえない場所で、オレとユカはばったり遭遇したのだ。

「あ!コウスケ!!え?!なんでこんなとこいるの?久しぶりね!元気だった?」
ハツラツとした彼女は容赦なく質問を浴びせてきた。俺はと言うと
「いや、まあ、ちょ...ちょっとね。うん、元気だったよ...普通に。そ、そっ...」
そっちは?と聞く前に急いでるからと彼女は風のように去っていった。背負ったテニスラケットが太陽の光を吸い込んで熱そうだった。質問したくせに答えも聞かずに去っていく彼女を呆然と見つめ、どうにか歪んだ口元を戻すので精一杯だった。
俺はユカが好きだった。今でも好きだ。だが、彼女には俺なんか全く映っていないようだった。

残念だ。
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