あのラインにもう一度……
綾くんは震えていた。
私は、綾くんの顔を両手で掴み、顔をあげさせた。
そして、ぎゅっと抱きついた。
そのときに、先輩は支えてくれていた手を離した。
「綾くん。大丈夫だよ。
私はここにいる。大丈夫。」
「……ああ…。」
やっと綾くんが言葉を口にした。
「帰ろ。」
「……ああ。」
綾くんは、私から離れて、私をおんぶした。
「歩けねぇだろ。」
「うん…。ありがとう。」
「優助、悪かったな。
梨桜を助けてくれてありがとう。」