シャイン
始業式は大事だから、とか何とかお袋にしつこく言われ、仕方なく来てやったけど。
やっぱり、おもんない。
式が終わったら教室で、ちんたらちんたらホームルームだ。
今年でもう三年だし、どーせしょっぱなから進路の話だろ。
…もう三年か。
俺、卒業したらどうすんだろ。
大学…とか行く…わけねぇよな、フリーターか、それもつまんねぇ。
これ以上、要らない奴にはなりたくねぇな…
いっそ、親父のケーキ屋を継ぐか。…馬鹿馬鹿しい。
俺は、親父が大嫌いだ。
継ぐって冗談でも考えただけで、寒気がする。
あいつには、なるべく関わりたくない。肉親だけど…そう思う。
ガチャ…
耳に入ってきた、屋上のドアを開ける音。
誰だよ、邪魔すんじゃねぇよ。
「藤吉くん、ですか…?」
俺の名前を呼んで姿を見せたのは、さっき小暮が俺らの担任だって言ってた女。
「だから何」
「あの、私、井上です。あなたの担任です」
「あっそ…」
「教室行きませんか?」
「行きません」
俺が睨むと、その女…井上はすぐに黙り込んだ。