シャイン
「俺が教室いかねぇ方がお前も楽だろ」
「あなたが教室にいないので、わかりません」
…は?なにその口調。ナメてんだろ。
顔のサイズにあってないその眼鏡、へし折ってやろうか。
ぐっと睨み付けたら、また黙った。
「早く、戻れば?」
「来てくれないんですか?」
「行くわけねぇよ」
「どうして?」
「しつけぇな…。何、俺が教室行ったら何かメリットでもあんの?
ヤンキーを手懐けたら一目置かれるとでも思ってんの?」
「…」
「俺帰るわ」
井上の横を通り過ぎようとしたとき、腕を掴まれた。
「離せよ」
弱い力だったからすぐに振りほどけたけど。
「鞄、取りにいかないと帰れませんよ」
睨んでいるつもりなのかしらねぇけど、眼鏡の奥の目はしっかりと俺を見てる。
鞄、置いてくんじゃなかった。
さすがに持ってかえんない訳にいかねぇしな。
「教室、行きましょう」
「…鞄取ったらすぐ帰るからな」
俺の言葉を無視して前を歩き出した井上。
仕方なく、朝鞄を置きに行った教室に行ってやることにした。