シャイン
「え、秀司かえんの?」
隣からのんきな小暮の声。
「あたりめーだろ」
「もうちょい居ろって。
…サボりってゆーイメージついていいの?」
そこだけ小声になる意味がわかんねぇ。
あからさまに怪訝そうな顔をしたら、小暮は宥めるように俺の腕を優しく叩いた。
「まぁ、座れよ。
…キャラメルフランスパン奢ってやるから」
そこを小声にしたのは、正解。
「あとで購買な」
満足そうに小暮が笑う。
俺はスクバを机の横にかけて、椅子に座った。
「何円だっけ、あのパン」
「…147円」
「さすが」
ニヤニヤと笑いながら財布の中身を確認する小暮。
こいつのにやけ顔、キモい。
キャラメルフランスパンは…俺の高校の購買だけで売ってる超うめぇパン。
あれはマジでやみつき。やめらんねぇもん。
買うときはいっつも、小暮にパシって買わせてる。
俺みたいなのがキャラメルフランスパン好きとか…なんか恥ずくて。
小暮以外の誰にも言えない。