星降る夜に。
冷蔵庫の中はビールとミネラルウォーターくらいで、食材はまったくなかった。
食欲があるかどうかも分からないし、お粥を作った。
なるべく物音を立てずに、それでもやっぱり音を出さずには出来ないけれど、大輔さんは熟睡をしているらしく目を覚ますことはなかった。
ソファの近くに座って、彼の寝顔を見つめる。
あの島で別れたときは、まさか再会するなんて思ってもいなかったし、こんなふうに家に来ることになるなんて想像もしなかった。
「…莉子?」
寝ぼけた声に呼ばれて顔を見ると、薄目を開けてこちらを見ていた。
起きているのか、まどろんでいるのか、どっちにも取れるような表情だ。
「夢?」
「夢じゃないよ。勝手に入ってごめんなさい。会社に横村さんが来て、大輔さんが寝込んでるから様子を見てきてほしいって。スペアキーを渡されて…」
大輔さんは状況を把握してくれたようで、呆れた感じでため息をついた。
「アイツ、余計なことをしやがって…。ごめんな、迷惑かけて」
「そんなことない。具合は?」