星降る夜に。
箱の中にはネックレスと同じデザインの、ハートが横に3つ連なった華奢な指輪が輝いていた。
ちょっとしたことで壊してしまいそうなくらい、繊細な作りだ。



「俺は、莉子の婚約者に勝てるところなんて何もないと思う。何も持ってないし、力もない。俺に出来るのは莉子を愛することだけだ。俺のことをずっと忘れずにいてくれるように」




大輔さんは私の薬指から婚約指輪を外すと、その指輪をつけてくれた。

不思議なほど肌になじむ。
ずっと前からつけていたかのような、不思議な感じ。

ただただ嬉しくて頬が緩むと、彼の腕が私を抱き寄せた。


優しくて力強いこの腕に抱きしめられるのは、あの島以来初めてだった。




「俺は莉子が好きだ…。莉子が結婚して会えなくなっても、ずっと好きだ」



苦しいくらいに抱きしめられて、彼の鼓動を感じて、好きだと言いたくて、涙がこぼれそうになる。



「大輔…」



気持ちを言えない代わりに、彼の名前を呼んだ。


彼の唇が、私がこぼした涙を拭っていく。


どうして好きなんだろう。どうして忘れられないんだろう。

私は彼を精一杯、抱きしめ返した。



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