星降る夜に。
誠さんは今週、分譲マンションの申し込みをした。

ドレス選びの日に見に行った高層マンション。

実家や職場からは結構離れてしまうけれど、バルコニーからの景色が綺麗だった。



「莉子と暮らすの楽しみだな。毎日美味しいもの食べれる」


「平日は期待しないでね。仕事から帰るの遅くなっちゃうし」


「早く帰ったほうが家事をやろう。共働きだし、何でも分担」



私にはやらなければいけないことが山程ある。結婚式の座席も決めなければいけないし、引き出物もある。


大輔さんと会う時間だって、確保出来るかは分からない。
会いたい気持ちがあっても、自分の生活を優先しなければいけない。
結婚の準備を進めるのが先だ。



「うちの実家にある家具とか、使うものがあれば持って行っていいって母さんが言ってたよ。冷蔵庫とか大きいものは一緒に買いに行こうって。母さん、買う気満々だから」


「何かお金出してもらってばっかりで申し訳ないわ」



結婚式の資金、マンションの頭金も出してくれることになっているのに。
彼の家には一体どれだけのお金があるんだろう。私の実家とは比べ物にならない。

そんな相手と結婚するんだから、人生は何が起きるか分からない。
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